太陽光発電所の中でも最も主要な設備の1つである太陽光パネル。20~25年の出力保証が付いてくることが一般的です。しかし、その根拠とされることが多い型式認証試験は長期の信頼性を評価する試験ではありません。事実、認証を取得されたパネルであっても、実フィールドにおいて劣化・故障事例が発生しています。FIT後に大量導入されたパネルの設置年数も間もなく10年。今後、劣化・故障の顕在化が懸念されます。そこで、パネルの性能・信頼性評価サービスを通じた様々なソリューションをご用意しております。

性能評価サービス(ラボ試験)

発電所を健全に維持するためには、パネルが想定通りのパフォーマンスを発揮しているのか?出力管理を行うことが重要です。しかし、パネルの出力保証は初年度劣化3%、年劣化率0.7%程度が一般的ですが、ばらつきの大きな発電量評価ではこのレベルの出力管理は困難です。パネルの経年劣化に起因して発電量の低下が確認されたときには、既にパネルの出力は大幅に落ちていると思われます。その事態を避けるため、少数でもパネルを取り外してラボで高精度な試験を行うことをご提案します。測定の不確かさも考慮に入れた出力値の診断や、劣化の兆候、安全性などについてレポートします。さらには時点評価のみでなく、パネルの出力状態を継続的に監視していく体制を構築することも重要です。万一、出力異常が発生した場合には、不具合分析やメーカーへの出力保証請求サポートも可能です。

主な記載項目と内容

主な項目 内容
標準試験条件(STC)における性能測定  ソーラシミュレータを用いて、標準試験条件(STC: 1000 W/m2, AM1.5G, 25℃)における性能(IV特性)を高精度に測定し、最大出力(Pmax)等を算出。高精度測定、通常測定、簡易測定のメニューあり。最大出力の最高測定能力は±1.8%。簡易測定で±3.1%。
エレクトロルミネセンス画像撮影 (EL) セルのクラック、剥離現象やバックシートの亀裂等、目視異常の有無を確認。項と一定の直流電流を印加し、セルの発光を暗室で撮影。セルのマイクロクラックや電極部の半田接合部劣化(抵抗増加)等の目視では確認出来ない劣化症状を可視化。
目視検査      セルのクラック、剥離現象やバックシートの亀裂等、目視異常の有無を確認。
湿潤漏れ電流試験 規定の溶液に浸した状態で、最大システム電圧を2分間印加し絶縁抵抗を測定。雨天時のリーク電流を想定した安全性を評価。
出力・安全性診断 上記の試験結果から、現時点での保証値に対する出力値や、劣化の兆候、安全性を診断
不具合分析 出力異常が発生した場合に、劣化箇所の特定や劣化原因の推定等の分析が可能。パネル内各セルの分離IV特性測定(非破壊)や赤外線画像撮影(IR)等が実施可能。

信頼性評価サービス(ラボ試験)

新規の発電所の場合は、予めパネルの長期信頼性を評価しておくことが重要です。型式認証試験では不十分と考えられる試験を揃えています。実環境使用20年に相当する加速劣化試験等を行い、20年間の出力挙動をシミュレーションします。また、各種耐久性試験により長期安全性を評価します。レポートはパネルの選定やメーカーとの仕様交渉においてお使いいただけます。

主な記載項目と内容

主な項目 内容

高加速温度サイクル試験

認証試験規格より厳しい試験条件で、電極の半田接合部劣化等の進行を加速し,実環境使用20年に相当する長期信頼性を約2ヵ月の試験期間で評価。(参考:認証試験規格⇒実環境使用3年相当の評価に過ぎない)

光劣化試験

屋外曝露により,初期劣化による出力低下量と安定化後の出力性能を評価。特に、初期劣化量が大きな最新セル技術の場合は評価を推奨。

   

バイパス回路耐久試験

パイパスダイオードを含む保護回路の耐久性を、温度サイクルと通電の組み合わせにより評価。バイパス回路故障は大事故に繋がる恐れもあり、安全性試験の位置付け。

長期ホットスポット耐久試験

屋外にて最大発熱条件でセルを遮光して意図的にホットスポットを発生させ約2ヶ月間(積算照射量200kWh/m2以上)の曝露を実施,セルおよび部材のホットスポットに対する耐久性を評価。

バックシート耐久試験

高温高湿試験後にモジュール裏面側(バックシート面)に約10年相当の紫外線を照射して材料自身の劣化を促進した後,温度サイクル試験および荷重試験を連続で実施し,バックシートの耐久性を評価。安全性・性能の観点から非常に重要。

パネルの調達サポート

単に上記の性能・信頼性評価を行うのみでなく、高品質なパネルを調達するためのサポートも可能です。パネルの仕様(部材、設計、製造プロセス)に関する要求事項や受入条件、保証条件などの設定等、エキスパートがアドバイスします。